東京のお父さん

私は、88というフリーペーパーを昼の仕事を終えた後に配布していた事がある。
主に青山と西麻布が私の担当区域だった。

ある日、根津美術館裏のタヒチというお店に88を置きに行くと。
バーカウンターに、出で立ちからして面白いというか不思議な男性がいた。
この不思議な男性は、後に私がサービス業をする上で影響力のある先輩となった。
東京のお父さんみたいな人と言っても過言でない。

いつものように、「こんばんはー。今月号も宜しくお願いします。」
と先輩に言うと、「君はここで働きなさいよ。」と一言。
内心、まんざらでもなかった。
このお店は、何か他のお店とは違うと感じていた。
内装も斬新だったし雰囲気が面白いと思っていたから。
すぐに、ここのスタッフになると決めた。
そして、翌日には社長の所に行き面接をして夕方から働く事に決定。
とてもスピーディーな展開だけど、何か流れに上手く乗る時って物事が自然に流れる。

それから、約2年間は朝の9時から夕方5時半まで西新宿の会社で働き、
6時から夜中の2時までタヒチで働くハードだけど面白い生活が始まった。
当時のタヒチは、ひっきりなしにお客様が来てとにかく忙しく
まかないのご飯は、カウンター裏でビール樽に腰掛けながら男の子みたいにかき込んでいた。
色んなメニューの味も知りたかったから、下げてきたお皿に残りがあればこっそり食べたり、
お客様に面白い対応ができるように、飲食業にまったく関係の無い知識を増やす為の
社会勉強もしていました。
一筋縄ではいかないお客様が多かったし、逆にそれが良い刺激になったと思う。
先輩は、仕事をしていないようで実は仕事をしているような人、会話のセンスが抜群に良く
人を惹き付けるのがとても上手。
眼力が強く、怒られると何も言えなくなってしまう。
少し周りのスタッフから理解されにくい所があったから文句を言われる事もあったと思う。
私も頭に来る事もあった。
でも、この50手前の先輩に感謝しています。

この人の一言「君はここで働きなさい。」この一言で
私の世界は大きく広がったのだから。
読む本や映画や音楽等の許容範囲も大きく広がった。

数日前、その先輩から連絡があり家を引っ越すとの事。
奥さんも2人のお子さんも元気な様子。
「俺らもいい歳になったからそろそろ会おうぜ。飯でも一緒に食って、息子の部屋で3人で寝ろ。
俺はかみさんとゆっくり寝るから。」
相変わらず面白い。

人との出会いは魔法の絆。

久々に東京のお父さんとお母さんに会いに行こうかな。
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by t7moko | 2013-08-24 01:14